ほんのちょっと大昔には、温泉は病気の療養や傷の手当て、その他疲労回復等にも役立つとされ、大変に重宝がられていました。京都に住む公家達は、その貴重な薬湯である温泉を楽しむために、はるか遠く有馬の温泉地から温泉の湯を桶に入れて牛車に引かせ、はるばる京の都まで運ばせていたそうです。また江戸時代の名だたる将軍達も、江戸に近い熱海や湯河原の温泉の湯を城中に運ばせ、温泉を楽しんでいたそうです。交通の手段が発達していなかったはるか昔には、気軽に温泉地に行き来することもできなかったので、いわゆる温泉の出前が行われていたのです。