列お湯物語

◆山形県-今神温泉
時代は神亀元年(724年)のことです。郷民に早坂新九郎という一人の若者がおりました。新九郎は狩人で、日々動物を追って野山をかけまわっておりました。
3月のある日、新九郎はいつものように山に分けいり、谷底へとおりていくと、大層体格の良い大きな熊を見つけました。新九郎は、慎重に熊の後を追うと向こうの方に岩屋があるのが見えました。
大熊は、ずんずん歩き続けその岩屋の中に入っていきました。
新九郎はしめたとばかりに岩屋に近づき足音をしのばせて岩屋の中に入りました。
するとどうでしょう、今まで暗かった岩屋の中が急に光り輝き、あたりがパッと明るくなりました。新九郎は不意のできごとに目がくらみ、びっくりしながらも光の方をみると、三尊(弥・薬師・観音)が姿を現されました。新九郎はこの霊光を受け、三尊のあまりの尊い御姿に感動して、涙を流して身を震わせました。そのことをきっかけに、新九郎は殺生をやめることを決意し、頭をまるめました。
そして、岩屋でみた三尊を熊野大権現として祀り、自ら祭神に仕えました。
この早坂新九郎が今熊野神社の初代別当の高岳院俊慶法印であるということです。
泉質:含炭酸・重曹及び芒硝一弱食塩泉
温度:35.7度
効能:婦人病、婦妊症、神経痛、高血圧、リューマチ慢性湿疹
*今神温泉は病気療養を専門としていますので、観光目的のみの方はできるだけ、ご遠慮ください
今熊山の東麓にあり、長倉川の渓流を脚下に見下ろす山あいの湯治場です。
別名「念仏温泉」とも呼ばれ、多くの湯治客に利用されています。浴場の一角には祭壇があり、由来伝説の三尊が祀られており、湯治客達はその祭壇に向かって「ナムアミダブツ」と念仏を唱えながら入浴するのが昔からのしきたりになっています。
冬になると豪雪のために宿はは閉鎖されてしまいます。
今神温泉は、病気療養専門の温泉として現在でも多くの人に利用されています。
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