列お湯物語

◆群馬県-花敷温泉
時は鎌倉時代。建久3年のある日のことです。源頼朝は家来を伴って浅間狩にでかけました。
野山に分け入り、獲物はいないかとあちらこちらさがしていると、一匹の猪が頼朝の前に飛び出してきました。
これはいいタイミングだとばかり、頼朝は猪を追いかけました。
しかし猪は、はなつ矢をかわしながら奥へ奥へと逃げていってしまいました。
あきらめてなるものかと、逃げる猪を追いかけて、頼朝もまた奥へ奥へと分け入っていきました。
頼朝が白砂川のそばまで来ると、目の前に湯煙にけむりながら、こんこんと湧きいでる温泉があるではありませんか。
さっそく頼朝は狩の疲れを癒そうと、見つけた温泉にはいりました。
お湯はとても気持がよく、頼朝はしばらく夢見心地の気分でした。
しばらくたってから、ふとあたりをみまわしてみると、先程は湯煙でよく見えませんでしたが、周囲には山桜が咲き乱れていて、それはそれは美しい光景がひろがっていました。
更には、お湯一面にその様子が映っていて、まるで別天地のようでした。頼朝は、その光景のあまりの美しさに感動し、「山桜夕陽に映える花敷きて、谷間にけむる湯にぞ入る山」という歌を詠みました。花敷温泉の名前は、その頼朝の歌にちなんでつけられたそうです。
また、地名も歌にちなんで入山と名付けられたそうです。
泉質:含食塩石膏泉、弱アルカリ性低張性高温泉
温度:50〜80度
効能:皮膚病、婦人病、創傷、慢性関節リューマチ、痔
標高900m、豊かな森と清流に恵まれた民話といで湯の山里六合村。
花敷温泉はその六合村のほぼ真ん中に位置する温泉です。
温泉の周りには豊かな自然がたくさん残っており、野反湖や芳ヶ平等、四季を通じて自然を満喫できます。
また、六合村は県下でも有数の道祖神の宝庫でもあります。
村のあちらこちらに29体もの道祖神があるので、一日ゆっくりと時間をかけて、道祖神めぐりをするのも、他の温泉地とはまた違った楽しみ方でしょう。
旅の歌人若山牧水が花敷という地名に惹かれ一泊した温泉地でもあり、若山牧水の碑や銅像などもあります。
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